バス17 消された記憶(1-1)

バス17 消された記憶(1-1)

日曜日の早朝、石井信夫は朝早いバスに揺られていた。大泉優子と待ち合わせていたバス停で降りると、青いワンピース姿の優子は既に着いていた。
バス停から二人がすれ違うのがやっとな幅の急な石段が続いていた。舗装された道路もあるようだが、丘の反対側でかなり遠回りになるようだ。
息を切らせて登ると、丘の上に小さいが白く美しい教会があった。古びた建物だが、手入れは行き届いており、外観も白く塗り直されたばかりだった。周囲の植込みには赤、紫、ピンク、黄、青と色とりどりの花が咲き乱れていた。
「あそこが架純ちゃんのとこ?」
「うん、私も初めて」
ドアは開いていたので、信夫は優子について入った。
中央に二人並べる程の通路を開けて、五人は座れそうな木製の長椅子が十列ほど並んでいる。席は三分の一が誰かしら座っていた。白髪の女性が多い感じだった。
右側の一番後ろの空いている長椅子に優子と並んで座った。
高い天窓にはステンドグラスが赤や青の光を通していた。祭壇の奥には小さな金のマリア像が佇んでいた。歴史を感じさせる厳かな雰囲気に二人は静かに飲み込まれていた。
優子は立原由香に手渡されたリモコンを握り締めながら、由香の言葉を思い出していた。
「あの人が仕込んでおくらしいから、賛美歌が始まったらオンにして、終わったらオフにするの。後は適当に遊んで良いわよ」
「あの人って?」
「分かってるでしょ。狸よ。すっかり架純ちゃんに御執心らしいわね」
「私がやるんですか?」
「ううん、あなたじゃなくて、石井君にやらせるの。そう言われてるわ」

有森架純は黒いシックな祭服に身を包み、髪は黒い布で覆って、祭壇の左端に静かに立っていた。反対側にも二人の際服の女性は居たが老婦人といった感じだった。
信夫は、架純の白い頬が祭服に映えて美しいと思った。
神父の少し退屈な説教は、耳を通り過ぎ、その合間に優子をチラ見したり、架純をながめていた。
しばらくして、オルガンの優しい音が響き始めた。
信夫の手が優子に握られると、小さなリモコンを渡された。優子が耳打ちした。
「賛美歌が始まったらオンにして、終わったらオフにして。後は自由に遊んでって」
「えっ? 何これ? 誰から?」
「由香さんだから、安心して。いきなりドカンは無いと思うわ」
信夫の手には金色の五百円玉程のリモコンがあった。真ん中に大きなボタンがあり、その右に△と▽のボタンがあった。小さな赤のオンと書かれていたランプは消えていた。
歌声が始まった。
(何が起こるのかな?)
信夫は手の中のそれを見ながら軽くボタンを押すと、赤いランプがゆっくり点滅した。
周りを見回したが、特に何も変わった気配は無い。優子も架純も普通だった。
(由香さんの悪戯かな? 何も無さそうだけど)
曲が終わったので、信夫はスイッチをオフにしてまた辺りを見回した。架純が少し疲れたのか俯きがちな以外は変わらなかった。
次の曲が始まった。
信夫がスイッチをオンにすると、架純がピクっと肩を震わせて辺りを見回した。
(あれ? これって架純ちゃんのかな? でも結構離れてるしなぁ)
オフにすると、架純の力が抜けて肩が下がった。
オンにすると、ぴくんと震えて、上を向いた。その唇は軽く噛み締められて、何かを我慢するような仕草だった。
(あっ、きっと架純ちゃんだ! ええっ、こんな事って。架純ちゃん自らがしてるってこと?)

有森架純の元に、小箱が届いたのは昨晩だった。差出人は立原由香になっていた。
箱を開けると、メモ用紙と革製のガッチリとしたパンティー型の器具が入っていた。腰の部分にベルトがあり、左側に留め具が付いている。股間にはシリコンの天狗の鼻のような突起が内側に向って付いていて、それを膣穴に挿入しないと、はけない事は想像出来た。もしかしてこれが、電気で動く物かと思ったがスイッチは見当たらなかった。
(明日のミサに穿いてきてね。楽しいことしましょう)
翌朝、架純は際服を着た後、その器具を手に取った。
天狗の鼻は小さめだが、そのままでは入らない。天狗の小鼻に顔を近づけると、紫色のシリコンに舌を触れた。突起はリアルな男性の形状になっていて、鎌首から鈴口が再現され、その下の幹には小さな凹凸と、静脈を想像させる模様が描かれていた。舌を一周させると口に頬張って吸い、茎の下部の太い部分に舌を這わせた。小さめだが、その淫らな行為を思い出させるには充分すぎるほどリアルだった。
架純の脳内に男性器を舐めているイメージが流れ込み、身体は一瞬で熱くなった。じゅんっと股間が蠢いて潤んだのが分かった。際服を着てこんな事をしているという思いが、興奮を倍増させた。
際服の布を捲ると、パンティーを脱いだ。股間に指先を当てると、ねっとりと淫汁が付いた。指先を開くとねちゃりと糸を引いた。脱いだパンティーで指を拭った。
妖しい器具に脚を通すと、股間まで引き上げた。天狗の鼻の位置を少し調整して押し当てると、鼻は架純の肉ビラを押し開き、たっぷりと溢れた淫汁を纏って胎内に入ってきた。ズーンと快感が押し寄せて、架純は下肢を震わせた。はあっと息を吐きながら根本まで入れて器具を穿くと、腰のベルトを左の留め具に通した。
カチッと音が鳴り、ロックされた様だ。少し動くだけで膣内の天狗の鼻がヒクヒクと蠢く。その刺激で腹の奥から息が溢れ出て、喉が詰まった。
(こんなんでミサが務まるかしら?)
不安になってベルトを留め具から外そうとしたが、どうやっても外れない。ロックの解除ボタンのような物は留め具に見当たらなかった。一瞬、後悔が脳裏を過ぎったが、架純の秘密を知っている由香を裏切る事は出来ないと覚悟を決めた。
留め具がロックされた直後、架純の膣穴で鼻の根本の赤いLEDは主人の司令を待って妖しく光り始めていた。
架純は出来るだけ小股で教会に向かい、ドアの横で礼拝者を笑顔で迎えた。挨拶しながらも由香を目で探した。頼めば外してくれるかもしれないとの微かな希望を持っていた。
会釈をするだけで、股間の奥の鼻が膣内の奥を擦った。その度にじわりと快感が産まれて蜘蛛の子を散らす様に拡がった。股間から淫汁が漏れ、頭の芯が霞んでいった。
清楚で清らかな黒の際服を身に纏いながら、股間に男性器を模した玩具を挿入している。昔の架純ならば絶対にあり得なかったし、そんなことが他人にバレたらどうなるだろうと思った。だが、セックスの快感や痴漢の指先の快感を身体に染み込まされた架純には、その悪魔的な性の快楽の魅惑に抗うことは出来なかった。挿入する前に見たリアルな形状が頭から離れない。それを喉の奥に押し込みたい欲望が身体の奥から湧き上がっていた。

ミサが始まって神父の説教が終わり、賛美歌のオルガンが鳴り響いた。近くのピアノの先生が弾いてくれているが、いつも上手だと感心する。歳は三十代半ばで未婚の美人だ。スレンダーだが乳房はEカップはあるだろう。その美しい音色に聞き惚れている間、股間の物は忘れられた。
曲の半ばで、股間の奥に突然刺激が訪れた。想像していたより、はるかにヤバイ快感が架純を襲った。陰茎を型どったバイブは小振りとはいえ、貞操帯の様な革製のパンツにしっかりと抑え込まれて、根本まできっちりと埋まっていた。それが勝手に動き始めて、恐ろしい快感を架純の肉壺の奥底に産み始めた。自分でコントロール出来ないそれは、自分がどうにかなってしまう恐怖を感じさせた。
だが、少しするとその快感に慣れてきた。両手を胸の少し下でガッチリと組んで、意識を保った。前を向いて由香を探すが教会の内部は薄暗く、歌詞の紙を見ている人々の顔は見え難い。
曲が終わると振動も止んだ、だが埋め込まれたジンジンとした快感は止まることが無かった。もっと振動を欲しがり、腰が勝手に周り始めた。
次の曲のオルガンが始まると、膣内の玩具はすぐに振動を始めた。由香を見つけても外してくれないと分かっていても、それが唯一のライフラインだった。この人々の前で絶頂に達して、はしたない声を上げることなど許されない。厳粛な祖父がそれを見たらと想像するだけで背筋が寒くなる。
架純の膣壁は本能的に玩具を男性器だと思い、受胎の為の精液を吸い出す様に蠢き、玩具を締め付けた。そのタイミングでスイッチが入れられると、否応なしに強烈な快感が背筋を突き抜けて、肩が震えた。オフの間に周囲を見回す。今度は由香を探す事より、前の人々が自分の変化に気付いていないかとの不安からだった。
身体は架純の意思に反して、勝手に反応を始めていた。次の振動が来ると、快感は全身を駆け巡って、身体がガクガクと震えて声が漏れた。
「ああっ、止めて!」
その喘ぎ声は、運良く賛美歌に消された。

信夫は△ボタンを一回押した。点滅が少しだけ早くなり、架純の足が少しモジモジし始めた。周囲の人々は手元の歌詞カードに集中しているので、架純の変化に気付く人は居ないようだった。
もう一度△ボタンを押した。明らかにさっきより架純の動きは妖しく、膝をかくかくと震わせているのが遠目で分かった。
架純の股間の振動は更に強烈になった。ブーンと唸る音が微かに自分の耳に入った。この快感をコントロールすることは出来ないと思った。突き上げるような快感に息が詰まった。息をすると、それは喘ぎ声となった。
「はぁ、はあん、はっ、ううっ、そんなっ!」
賛美歌の音にそれは消されたが、腰はひくついて立っているのがやっとだった。

信夫がスイッチをオフにすると、架純は肩の力を抜いて下を向き、息を整えていた。
またオンにした。架純はびくっと震えたが、今度はさっきほど激しくは反応していない。赤ランプは最初のゆっくりした点滅だった。一度オフにすると一番弱いモードから入るようだ。
△ボタンを二度押すと、赤ランプは早い点滅に変わった。信夫はもう一度△ボタンを押したが、ランプはそれ以上早くはならない。
自分の指先一つで、厳かな教会の祭壇前に立つ少女を辱められる実感に身体が熱くなってきた。

架純は両手を前で組んで歌ってはいたが、下肢はヒクヒクと蠢いていた。自分の身体なのに自由に出来ないもどかしさ。止めて欲しいはずなのに、身体は次の快感を待ち望んでいた。体調不良を理由に逃げ出せば良い。だが、逃げ出せば、これを外して貰えなくなるかもしれない。更に、誰かに介抱されているときにそれが動き出す方が恐ろしかった。
ブーンと股間の玩具は激しく動いていた。快感が腰を突き抜けて、下肢が震える。絶頂の波がそこまで来ていた。
架純のひくつきは大分強くなり、架純に注意を払わなくとも前を見ていれば異変に気付くほどだ。長い丈の祭服で足元は見えないが、腰がひくひくと震えて、組んだ手は時折下に降りていた。少し俯き、肩が震えている。明らかに性的な快感に耐えている少女の動きだった。
(ああっ、ダメっ、やばい、逝っちゃうかも!)
アーメンとの歌声で、オルガンが止むのに合わせて、信夫はスイッチをオフにした。
その瞬間、架純の股間の玩具の動きは止まり、絶頂の波は凍りついたように目前で止まった。架純の身体は絶頂を待ち望み、架純の意識もおぼろげながらそれを望んでいた。
(ああっ、ひどい、いっそ逝かせて欲しいのに!)
下肢が震えて、ジュンジュンと愛液が内腿に滴り落ちているのが分かる。腰を回すだけでは、中途半端な快感が返って自分を追い詰めるだけだった。逝ったらどうなるかという理性的な判断力は消し去られていた。
ふっと顔を上げた、その先に信夫がいた。その瞳がじっと架純を見ていた。
(こんなことしてるの、もしかして、信夫さんなの?)

(KDP Select サンプルとして公開)

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